キャンセルの連絡で思い出したこと

以前予約を受けていた時に、体調不良で直前のキャンセルをしたゲストがいた。
本当に楽しみだったご様子だったので、
是非お身体の具合がよくなったらいらしてください、とお話して電話を切った。
そしてその日から1ヶ月ほどして、その方はまた新たに日程を組んで来てくれた。
『どうしても訪れたいと思っていたので、来られてとても嬉しい、
そしてあの時に言ってくれたあなたの一言が本当に嬉しかった、ありがとう』という
私にとっても、とっても嬉しかった忘れられない言葉。
別に何の気なしに話をした事だったのに、そんなに覚えていてくれるとは、と驚くことしきりの私。

実は、先日急な発熱で寝込んだ翌日、とある旅館の日帰りでのスパを予約していた。
宿泊の予約はいつもいっぱい、評判も悪くない。
そして先日見学(偵察?)しに行った時にもっと館内を見てみたい、と興味を持ったから。
どう考えてもこの体調での施術は無理だ。
そう思って前日のうちにキャンセルの連絡を入れた。
『急に体調が悪くなってしまって・・・今回はキャンセルさせていただきたく・・・』
そう言いながら、そういえばこんな電話を何度も受けたことがあったなぁと思い出した。

『21時からキャンセル料が発生致しますが、今ちょうど21時なのでキャンセル料は結構です。
それではキャンセルを承りました。ありがとうございました。』
電話口の方は何も失礼な事は言っていない。間違えた事もしていない。

本当は、日程の変更をしても受けたかった。
だが何だかその対応にとても寂しい気分になって、そのまま電話を切った。
たまたま具合が悪くなって何となく気分的に落ちていたせいもあると思う。
電話を切ってから横になり、
あのとき電話口で話した私を館内で探してくれた、ゲストの事を考えていた。
そうか、きっとこんな心境だったんだろうなぁ、と。

私はゲストの気持ちを汲める接客がしていきたいな、と何となく思った出来事。