寂しいと思う暇がないようだ

越してくる前のことは知らないが、想像するにかなりの肝試しが出来そうな庭だったようで
家の周りの伸び放題だった大木はかなり大胆にカットされている。
そのカットの残骸、枝というには太すぎる丸太や私の身長よりも長い、大きな枝、
物干し竿に使えそうなぐらい長い長い竹など、木々の足元にわんさか山積みのまま。
敷地の端の方なので特に生活に支障はないのだが、気になりだしたらやっぱり気になる。

父は植木屋だ。
この時期から夏にかけて、草刈りや諸々の作業を暑くなる前に集中してやってしまおうと
よく早朝出かけていく姿を子どもの頃から見ていた。
起きて朝食を食べている頃に帰ってきた父は枝やちぎれた葉、泥で
それこそ洋服の中までドロドロ。
父が通ったところにはありとあらゆるところ、
玄関や廊下、洗面所までサワラの木の小さな葉が落ちていたりして。

今朝は夜明けとともに起き出して日の出を眺め。
朝ごはんをしっかり食べ、頭には手ぬぐいをしっかり巻いて手には厚手のゴム手袋。
足元は地下足袋と行きたいところだけど、持っていないのでスニーカーで。
何となくそんな仕事している父の気分。
そして暑くならないうちに作業をしてしまおうと一念発起して、庭の開墾作業。
こうなるともうガーデニングじゃない。
よしっ!と気合を入れて、それらの大量の枝を裏手にわっせわっせと移動。
サワラやカラマツ、イロハモミジ、竹、その他なにやら知らない木。
物によっては肩に担ぎ、背負ってズルズル引きずり、うずたかく積み上げられた枝の山、
およそ2メートルほど。
それでも敷地の半分で疲れて2時間半ほどで力尽きたのだが、だいぶキレイになった。
複雑に絡み合ったその山のような枝がしなり、その枝の山はクッションのようにフカフカ
無駄にその山に登って2時間半の成果をかみ締める私。

終わった私は汗だく泥まみれ。
洋服の中にはどこから入ったのかちぎれた葉が沢山、見たこともないぐらいジーンズが汚れている。
そのまま洋服、自分ともども洗濯大会に突入。
お風呂上りに朝の涼しい空気の中でサンデッキでうたた寝
あぁ早起きは三文の徳って本当だわ。

ところで・・・
自分がまさか朝4時に起きて庭仕事をするようになるとは
数ヶ月前には想像も付かなかったなぁ。
開業準備でこうして仲間が来る前に少ない人数で山奥にいる事が
寂しいとは感じない?とふと同僚に聞かれたのだけれど、私はちっとも寂しくない。
だって何やら自分の変化や環境の変化、そして目の前にあるもの、
起きること全てを楽しんでいるから。
寂しいと思う暇がないんだ。