広角レンズと千里眼を持つこと

接客の仕事をするうえで大切な事って、
先読みして準備しておくことに尽きるように思う。

その場でとっさの演出、というのも勿論あるけれど、
手際良くゲストの要望に答えていくためには、
そのゲストが何を所望するのかを想定して準備しておくことが大切だということだ。
部屋に案内したときに荷物をすっと置けるのは
荷物を置くことを想定してそこに荷物ラックが既に用意してあるから。
洋服を脱いだ時、後ろに回ってすぐに預かりクローゼットにかけて差し上げられるのは
想定してハンガーを手に持ってその場にいるから。
これはいわゆる『一般的な』どのお客様にも当てはまる動き。

レストランでの接客、リピーターのお客様となると、
もっとあれこれ考える事が出てくる。
前回飲んでいたもので焼酎を好んでいらしてるようなら、
幾つか勧められる焼酎を用意しておく。
焼酎を飲むグラス、水割り用なのか?ロックグラスなのか?
もしかしたら梅干を入れるとかレモンを添えるとかそんな飲み方をされる人だっている。
勧めるにはそれがすぐに用意出来なければいけないし、
そのためには、そのお客様が来る前に、考えうる要望を想定して揃えておくことが必要。

ある意味、全ての行動において、お客様の動きを頭の中に叩き込んだ上で
そのときに自分に何が出来るのか、想像力を働かせることなんだと思う。
もっとも私の場合、想像じゃなくて妄想に近い場合もあるが。

以前広角レンズの目をもつことって書いたような気がする。
全体の動きを見た上でのどう動くかを考える、と。
これって大勢のお客様に対して大切な事だったりするけれど、
個々のお客様とのかかわりでは、きっと千里眼みたいな視点であれこれ見られるかが
大切なんじゃないかなぁと思う。

言われた事をその場でこなす、というのは作業であって仕事じゃない。
これらが出来て初めて最低限の仕事が出来ている状態なんだと思う。
そして、お客様を楽しませるエンターティナーになれるかどうか、というのは
これとはまた別の話。

いかにお客様を自分の持つ世界に引き込めるか。
それはホテルマンとしてのエゴなのかもしれないけど
食事を楽しみ、会話とその場で過ごす時間を最大限楽しんで頂くため。
エンターティナーになれるかどうかは、
沢山の会話の引き出しだって必要だし、会話を切り返す頭の回転だって必要。
そしてその演出家を引き立てスムーズに全てを進めるためには
お客様の動き、お客様を演出するスタッフの動き、
両方を見て先読みして出来る最高の補佐も必要。

今の私は、正直言えば裏方仕事が多い。
例えば、営業だったり、いらっしゃるVIPの下調べだったり予約の手配だったり・・・。
パンフレットの作成だったり、温泉の湯守だったり。電話番だったり。
だけど、それはエンターティナーを育てんと奮闘する上司が、それに専念できるように。
皆が要人の到着時に最初から名前を呼んで迎えられるように。
全体のバランスを取って、声かけ出来るように。
そのためにあれこれ請け負った仕事や、思い立って自分でやり始めた仕事の量は
自分の処理能力を少し超えているように感じることもたまにはあるけれど
先読みして動くための訓練にもなり得るし、
自分の仕事の許容量を広げるための試練でもある。
そして私なりに今のポジションで、広角レンズと千里眼の視点で仕事をしているつもりだ。

広角レンズと千里眼を併せ持った、最強のエンターティナーの上司と、
仕事終わりの夜更けにあれこれ接客に関して話しながらふと考えた。

ひとまず、私の課題は今の話とは全く関係なく、
朝起きられるかどうか、ということに尽きる。
最近本当に起きられないため、午後からの出勤ばかり。

・・・ここだけの話今朝6時に起きられたのは多分奇跡に近い。
日曜日は朝5時半起きなのだが、今から不安だ。
携帯のアラームをスヌーズにして5つかけても、それでもダメ。
実はかなり深刻な悩みだ。
あぁ誰か、モーニングコールしてくれないかな・・・