幸せってなんだろう

絶対幸せになってやる
フロントで一緒に働いていた人の口癖。

彼女はかつて国際線のスチュワーデスだった人でバツ1、38歳。
プラス思考といえば聞こえはいいが、彼女は全ておいて捨て上手だ。
例えば、仕事をしていて失敗する。
その失敗を悔やんだり反省するのではなく、仕方ない、過ぎた事だと切り捨てる。
だから何度も同じ事を繰り返すし、そして彼女は繰り返しても気にしない。

運が悪かった。
悪い空気が流れてた。
疲れてた。
私から見れば非はどう考えても彼女にあり責任転嫁の何者でもないのだけれど
そんな調子の彼女は仕事でのストレスをためない。
多分それが彼女なりの生きる術なんだと思う。

仕事に対してそんな風に食らいつく事のない彼女でも
言葉の端々で垣間見えるのが、幸せな人生を手に入れてやると躍起になっているところ。
過去に何があったのかは知らないけど
幸せになりたいと思うことだけは捨ててなかった。

そんな彼女がまもなく会社を辞める。
彼女なりの幸せを掴んだからだ。
知り合って2ヶ月の相手と電撃結婚
2ヶ月で結婚を決めてしまうなんて私には絶対考えられない。
彼女の幸せが続くのかどうか、
果たしてその幸せ探しの旅が終着点を迎えたのかは、私は知らない。
だけど、口癖を現実にした彼女の顔は晴れやかだ。

幸せの価値とか、何をもって幸せとするのか
それは人それぞれだけれど、彼女にとっての幸せは結婚だったらしい。

前の日に抱えた仕事の事を考えたら不安になって眠れなくなり
おかげで昨日は頭が働かず細かいミスの連発の日。
それでもどうにかこうにか6時間残業し、抱えた山を少しだけ片付けて帰宅。
そんな私にとっての幸せってなんだろう。
とりあえず美味しい物を食べる瞬間とか、
眠い限界まで頑張って起きていて、布団に体をうずめて落ちる瞬間とか…
そんな瞬間に幸せを感じられる私はなんて安上がりなんだろう。