見知らぬ大輪の花のルーツ
小さい頃からそうなのだが、私は分からない事があったら調べずにはいられない。
図鑑や百科事典が小さい頃の愛読書、というちょっと変な子供だった。
大人になってもその図鑑好きは変わらない。
変わったことと言えば時代とともに紙媒体の図鑑や辞書をぺらぺらめくって調べる事から
インターネットで調べるようになった事ぐらいだろうか。
このあたりに街路樹代わりに道端に沢山生えていて、
秋のこの時期にクリーム色がかった白い、
大きな花が房状に咲く植物がある。
その高さは私の背丈をゆうに超える。
すっくと空に向けてまっすぐに伸びた茎に、たわわに咲いた白い花。
草花というよりはもはや「木」である。
でも…これが何の花なのか分からない。
犬の散歩をしているオバサマや散歩途中のおじさまに
聞いてみたりもしたけれど、みんな口をそろえて
よく見かけるけれど、うーん、知らない…だそうで。
身近すぎて気にも留めないのだろう。
そもそも、こんな風に野鳥の名前だったり虫や草花の名前だったり、
そんな事をいちいち気に留めて調べようと思う事自体、
多分一般的ではない事にようやく最近になって気が付いた私。
そうか。みんな気にならないのね。
確かに知ったところで、腹が満たされる訳でもない。
でも、私はやっぱり気になる。
頭の片隅にひっかかっていた
この謎の巨大なクリーム色のたわわ花柱。
葉っぱは厚っこくてトゲトゲしていて、先端に触れると痛い。
そして。ひょんな事から謎が解けた。
この花の名前は…ユッカラン!
あぁ。「ユッカ」って観葉植物で聞いた事がある。
でも私のユッカと聞いたイメージは、
鉢植えで窓際に置いてある物であって、
路肩にのびのびと育っているものではない。
実際に私も育てていたのに、同じ類とは気がつかなかった。
ちなみにこのユッカラン、日本名は「厚葉君が代蘭」(あつばきみがよらん)ですって。
なんだかありがたい名前だ。
日本には明治時代に渡来した、この植物は学術名を「ユッカ・グロリオサ」という。
この「グロリオサ」は栄光とか立派を意味する言葉で
当時からしてみたら、見た目そのままのベタな名前のつもりなんだろうけど
今になってみると、戦前の香りがするこのネーミングは意外と面白い。
あぁー喉にひっかかっていた小骨が取れた気分で、すっきりした。