久助

久助」(きゅうすけ)というのをご存じだろうか。
 
煎餅などが割れたり欠けたりして商品として販売出来ないものを、格安で販売しているものの事だ。
何故「久助」かといえば、完全なものが10とすれば、何か不具合があるという事で9だとか、
本葛を久助といい、「くず」の言葉を引っかけて久助というとか諸説あるらしい。
 
近所に、小さな製菓工場がある。
湯河原の駅から徒歩2分の住宅地内程にあるのだが、辺り一面いつも甘い匂いが立ちこめている。
実はこのお菓子工場内で、久助を販売している。
表向きは「社員向け」というので、包装もなければ領収書も出ない。
加えて言うなら、「いらしゃいませ」も「ありがとうございました」もない。
どう考えても一般人が入ったらまずい雰囲気の、
事務所の廊下の片隅で段ボールをいくつか積んで販売している。
買いたければ、商品を選んで事務所に声をかけて購入する仕組み。
 
日によってサブレだったりクッキーだったり、チョコがけのミルフィーユだったり販売している物は違う。
この間食べたクッキーおいしかったなぁ、なんて行っても同じものは、もう置いていない。
ひっそりと、でも意外と売れているのだろう。
ちなみに今日の戦利品はオレンジピールが入ったクッキー。250円也。
大抵1袋、これでもか、という程入って250円か300円だ。
家で食べるには、これで十分だ。
立ち寄って今日は何を売っているのかを見るのも、散歩のひそかな楽しみの1つである。
 
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この久助、原材料表示も適当だ。
チョコレートもココナッツも入っていそうにもないのに、
そこにはそう書いてある。
オレンジピールが入っているのに書いてない。
なんだこれ、と思ったら…
「この製品は九助ですから、上記原料が含まれていない時もあります」だそうで。
 
あぁ。何が入っていても同じ袋なのね。
クッキーでもラングドシャでもミルフィーユでもなく、
これは「久助」という食べ物という事だ。
そういえば、久助ではなく、九助、と書いてある。
この際、久でも九でも、どちらでもいいか。