湯河原でどうしても行きたかった場所

 
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息を切らして緩やかな坂を登りきると…。
 
あぁー!あったあった!!
思わず店を見て通りで大声を出してしまった私。
 
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スーパーの横にある、この珈琲豆の自動販売機に
お世話になっている事は先日書いたけれど
行きたかったその場所は、その豆を販売している方の
お宅である。
焙煎士であるその方がカフェとして週末のみ営業している
その場所に一度行って、
豆を焙煎しているご本人にお逢いしたかったのだ。
 
私がみかんの国の生活最終日に
必死に迷ってでも行きたかった場所。
そこは奥さんが一人で営む、この珈琲屋さん。
 
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肩で息をしながらやっとのことで扉を開けた私。
まずは水飲んで息を整えて、と、
小さな店に転がり込むように入ってきた
私の姿を見て驚いているご様子。
先にいらしていたお客様のご夫妻も目をくるくる。

汗だくで肩で息をする私は、
明らかにコーヒーを飲みに来た様子ではない。
どうやら私が山道で迷ったと思ったらしい。
 
もらった水を、息つく間もなく一気飲みして、ふぅーっと大きく深呼吸する私。
 
いや…違うんです。
ど、どうしてもここに来たくって…
あ、歩いてきたら…その…迷っちゃいました。
明日湯河原を引っ越すのですが、最後にとにかくどうしてもどうしても、お逢いして、
ここで珈琲が飲みたかったんです。
 
あぁ良かった。辿り着けて。
イメージ 3言いたい事を言って、私はやっと必死の形相から笑顔。
 
そんな様子をうなずきながら聞いてくれた大坂さんは
ニコニコしながらホットでも飲めますか?と。
目の前でブレンドの豆をゴリゴリ挽いて淹れてくれた。

この珈琲は生豆を輸入して、
ご自身でその豆毎の性格や状態、
その日の天候を見て「一番いい状態」に焙煎する。
ロースト具合は、ライト、ミディアム、フル、と。
あとは飲む側の好みも鑑みて。
ここは、「隠れ家的なお店」というより「ほとんど隠れ家」である。
営業も金、土、日の3日間だけだし、場所も決して分かりやすい場所ではない。
店構えはカフェだけど、途中看板もない。
私がいつも飲んでいたコーヒーはスマトラ10、マンデリン8の焙煎具合のもの。
今日のブレンドコーヒーを飲みながら、それで焙煎していただくように依頼。
 
豆の性格上、焙煎具合のセオリーはある程度あるのだそうだ。
豆の焙煎は、例えば日焼けする人の肌のようだという。
焼いてもあまり黒くなる事ならない人、
こんがり焼ける人。
豆ごとにこんがりと焙煎して良さが引き出されるもの、浅めに焙煎した方がいいもの、と豆の性格がある。
ただ、そのセオリー通りに機械的に焙煎すればいいというものではない。
豆の性格を知った上でローストし、目の前に豆の水分量などを見ながら
一番いい状態に焙煎するのは感覚以外の何物でもなく、それは経験と勘。
焙煎士を名乗るゆえんは、そこにあるのだという。
 
コーヒーから起つ華やかな香り。
口に含んだ際にまず感じるのは苦みではなくて、ほんのりとした甘み。
豆を大事に大事に焙煎しているから、こんなに豊かな味わいが深いのか。
ご本人に逢って、真摯に豆と向き合い、そしてお客様をまっすぐに見て楽しそうに話す姿を見て
この珈琲が心から美味しいって思った理由が分かった気がした。
この人は珈琲を通して、ちゃんと人を「おもてなし」している。
だから共感出来たんだと思う。
 
4人も入れば満席の小さなカフェだけど
快活な大坂さん(ちなみに女性である)の顔は本当に活き活きとしていて
気が付けば、先に来ていたご夫妻ともぽつりぽつりと話しながら過ごすその時、
本当に「豊かな時間」が流れていたと思う。
行って、直接逢えてよかった。
頼めば宅配便でも送ってくれるという。
手書きのコーヒー豆のメニューをもらい、あったかい気持ちでお店を後にした。

 
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きっと、これから餃子の国から私はここの珈琲を取り寄せる事になるんだと思う。
予想外の苦労を強いられたものの、そこまでして足を運んだだけの成果があった、湯河原最後の日曜日。
なんでもない1日、いや素敵な1日をありがとう。 
 
さて日付変わって今日月曜日。
本日の午後、みかんの国を発つ事になる。
片付けや荷造りはほぼ終了しあとは荷物の搬出に業者が来る連絡を待つばかり。
今日は長い1日になりそうだ。
 
『癒しの空間「珈琲屋」』 http://www.coffee-ya.jp/
〒259-0314
神奈川県足柄下郡湯河原町宮上769-56
 0465-62-1556  0465-62-1556    
 090-2431-7508  090-2431-7508
※豆は、250グラム(挽くと目減りして200グラム程になる)、2個から宅配可能。
 ぬっこが大好きでいつも買っていたのは「スマトラ・マンデリン」