春への呼び水に翻弄される

昨日は1日雪。
積もったと言っても2センチ~3センチ、
うっすらと白くなった程度だ。
日中気温があがったせいか、降り続いた割には積もらなかったように思う。
 
もう5年以上前の出来事になるが、那須に住んでいた時に
凍った通りでスリップ事故を起こした事がある。
自分も同乗者もけがはなかったものの、車は2カ月修理にディーラーに入院。
今思えば結構な事故だったんだと思う。
だけどこの事故をきっかけにして雪道も氷の道も、
過信することも過剰に怖がる事もなくなった。
ある意味で、いい薬になったのかもしれない。
それからマイナス10度以下に下がる事もざらの軽井沢に数年、
天下の剣箱根に数年。
いつしか感覚的には雪が降る事や凍結する事が日常になっていた。
1年間の凍結とは無縁の湯河原暮らしを経て、今の栃木に戻ってきた訳だが…
 
この土地は車が無ければ多分生活するのはなかなか大変である。
だが雪なんてめったに降らないもんだから、雪道には慣れていない人が多い。
中にはノーマルタイヤでそのままウィンターシーズンも過ごす人も多いんだと思う。
昨日みたいに1日雪なんて日がどんな日かは想像がつくだろう。
 
昨晩隣町のプールに出かけようとしたら
徐行運転の車で、なんでもない通りが大渋滞。
大丈夫。まだ凍結してないからそんなに慎重にならなくても…
そんな風に独り言を言いながら運転する私。
 
そうかと思えば、暴走運転の車も1台や2台じゃない。
過剰な多数の徐行運転車にいらついた結果、発散すべくアクセルを踏み込んでいるのか
俺は雪道でも滑らないぜ、と自己顕示欲満載なのか解らないけれど
雪道じゃなくてもあなたの運転は事故を誘発しかねないし。
あらあら、70キロで走っている私をパッシングして車線を避けさせなくても。
徐行運転も、暴走運転も、どちらの方にとっても言える事だが
この土地では「雪がふる」という事は立派な「非日常」なんだなって。
 
プールはレーン内を列をなして私みたいにウォーキングする人がいるというのに、
今日は1レーン私だけで貸し切り!
なんせプール全体を見ても私ともう一人しかいないのだから。
私にとってこれはうれしい非日常。
人が泳いだり歩いたりすればさざ波が起つ。
誰もいないプールは鏡みたいに自分の姿が写り込み、
一歩進む毎にその静謐が破られていく。
自分が開拓隊長になった気分でのしのし水面にさざ波を立てていくのはすごく気分がいい。
(どうやら開拓、という響きが好きらしい…)
 
今日は雨まじりの雪で、その雪もすっかり溶けてしまった。
この土地に降る雪は、春への呼び水となる。
冬の間カサカサに乾燥した木々や畑を潤し、
次の季節がまもなくやって来る事を教え、休眠から目覚めさせてくれる呼び水だ。
それゆえこの時期の淡雪はすぐに溶けてしまう。
そう、先日さよならも言わずに消えていった雪だるまみたいに。