ぬっこ 釣れない釣りを楽しむ
今年に入って初めての釣り。
気象予報士の「気温はいつもと比べて高い」という言葉を、暖かいと勝手に解釈して、
まだ暗いうちから海へと向かう。
隣の茨城県の堤防へ、と思ったがよく調べもせずにきたので
いったいどこが釣り場なのやら。
そもそもどこで何を釣ろう、という考えの元で行動するのがふつうだと思うのだが・・・。
見切り発車の私、どうしたかって。
散歩のおじさん、市場の駐車場係の方、目に付いた方、片っぱしから釣り場をヒアリング調査。
まるでダーツの旅のスタッフさんみたいである。
とりあえず、那珂湊(なかみなと)港の片隅に陣取る。
曇りは想定内だったけれど、身を切るような冷たい風、
あれ・・・暖かいはずじゃぁ。
手がかじかんで仕掛けが結べない。寒い!寒すぎる!
オキアミで、アジ釣りのつもりだったのだが
どうも周りはそんな釣りをしている人は誰もいない。
ってことはここで釣れるのはカレイかな・・・。
ではでは重りや仕掛けを変更して…
そんなことをしていたら後ろでガサガサ、バタバタッ。
あぁあ!こら!まて!!
たった今外したばかりのオキアミが入った仕掛けごと
ハトに持って行かれた。
まさか仕掛けごと持っていくとは。
っていうか、ハトってエビを食べるのか?豆じゃないのか?
野良猫に盗られるならまだしも、ハトに盗られるって!
女子1人での釣り、というのは珍しい事は自分でも承知している。
珍しいね、と声をかけられる事も慣れている。
だけど、さっき片っぱしから聞きまわった私みたいに、
通りかかる人に片っぱしから女の人が釣りだなんて、珍しいね、と声をかけられるとは。
散歩のおじさん、今日は会社が休みで隣町から来たお兄さん、
焼き物の街から釣り場偵察のおじさん、近くの工事をされていた方
いったい何人の人と話しただろう。
これで大漁だったら鼻も高いが、目の前のバケツは空っぽ。足元には大量の海藻。
海藻じゃなくって魚釣りなよ、なんてからかわれる。
いじりやすいんだろうか、私…。
それからしばらくして…。
竿が重い!来た!来たのか?!
…来た。ええ。来ましたとも。
一応植物ではない。生き物だ。正確には魚ではなく貝類だ。
こんな大きなアメフラシ、初めて見た。
大きさはバレーボールサイズだろうか。
黒いむにゅっとした身体に淡いピンク色の縞模様・・・。
針を外そうとペンチでつついたら、
大量に鮮やかな紫色の液体を吐いた。
ぎゃっ!
キャッチアンドイートが信条の私だが、
ごめんなさい、あなたは食べられません、と
そっと海にお帰りいただいた。
(茹でて酢のものや煮付で食べられるらしいが・・・)
結局魚は1匹も釣れず。
でも、釣れないかなぁ、とわくわくしながら竿を準備したり
寒いながらも、座ってアタリを待ったりするその時間は、
楽しかったから良しとしようかしら。
次はもう少し暖かくなってから行く事にしよう。
あまりに寒くて指先がしびれてきたのでさっさと退散。
本日の釣果 大量の海藻と、アメフラシ