ケセラセラ旅行記1日目(2)~国境のトンネルを抜けたら

やっと乗った電車に揺られてしばらくたって、延々とトンネルが続く場所がある。
川端康成の「国境の長いトンネルを抜けると、そこは雪の国だった」の舞台となった、
イメージ 1
抜けるんだろうか、と思える程長い長いトンネル。
そしてトンネルの中の心もとない蛍光灯が燈る小さな駅。
地上へと通じる長い長い階段を目にして
思わず降りてみたい衝動に駆られるけれど、
こんな山奥のトンネルの中に取り残されたら外はきっと雪、本当に遭難してしまう。
写真を撮りたい、降りたい衝動をぐぐっと我慢して、トンネルを抜けたら…
 
 
 
イメージ 2やっぱり雪国!
関東を抜けるのにたいそう時間がかかったものだから
この雪景色を目にした感慨はひとしおである。
思わず顔を窓ガラスにぺたりと付けるほど近づいて
思わず口をついてわぁぁ、と声が出てしまった私。
だって、嬉しかったんだもの。
地上に出た事、そして目の前に広がる雪景色。
川端康成がどんな人となりをしていたのかは
知るよしもないけれど、
内心は私と同じ心境だったに違いない。
それぐらいこの感動は大きい。
ぎょろりとした目の厳しい顔をしているイメージだけれど、そんな川端康成が内心小さくわぁ、と呟いていたら
ちょっと面白いなぁなんて
 
実は、この時点でまだ泊まる宿を決めていなかった。
新潟県中越にあたる長岡駅での宿泊にするのか、上越糸魚川辺りまで歩みを進めるのか。
それを決めかねていて・・・(結局長岡に泊まる事にした)
初日は長岡に逗留することに。
初日に新潟入りして蟹を食べた後、2日目に北陸に歩を進める予定だったのが
どうも、乗り継ぎやら何やらうまくいかない初日だった。
 
こういう時こそ、意地になって何かをしたくなる。
だけど、この出かけた日は暦の上では「不成就日」
不成就日とは昔の人が定めた、事を興すには適さない日。
読んで字のごとく「何をしても成就しない日」という意味だ。
こんな日は抗っていいことはない。昔の人はよく言ったもんだ。
(ってそんないちいち暦を見ている私は一体いくつのおばあちゃんなのかと言われそうだが…)
 
結局駅前のシティホテルに泊まる事に決め、ホテルの1階の居酒屋でおとなしく食事。
明日こそ!蟹が待っている。うふふ。
そんな脳天気な思いで初日の夜は更けていく。