ケセラセラ旅行記1日目(1) 序章
「計画停電」という言葉は今年の流行語になるだろう。
いや、それより何より、2011年が終わるころには
もっと世の中が右往左往せずに生活の中になじんでいるのだろうか。
この計画停電に泣かされることは十分承知していた今回の旅。
移動中に停電には遭遇しなかったもののこんなに身をもって実感する羽目になるとは思わなんだ。
初日は5時台の電車にてこの旅はスタートした。
冷たい風が吹きすさぶホームで電車を待っていると、
通り過ぎる貨物列車。
一路北へと駆け抜けていく連なるオイルタンク。
このガソリンや灯油が、
それぞれの人の元に早く届きますように!
そんな願いを込めながら、いけいけ、一路東北へと
貨物列車にエールを送る。
それから電車に乗って1時間程で埼玉県の大宮市へ。
そこで群馬県を目指して新潟に入るのが初日の目標。
旅は北陸たび(のつもり)なので、1日目が新潟、2日目に金沢、で「海鮮うまいもの祭り」をするのが
今回の旅の目的。
ところが・・・電車がないのだ。
計画停電の影響で7割削減ダイヤ。ここまで酷いとは!
群馬県の「高崎」まで辿り着き、そこから「新前橋」まで移動したものの電車が1時間半ない。
仕方ない。1時間半待つことにして、新前橋の町並みをぶらり散策。
味噌煮込みうどんの看板を出しながら、うどん欠品中、という
なんとも怪しい店で昼食を取り時間を過ごす。
新前橋の散策は、ガソリンスタンドの状況を見てみたかったというのもある。
栃木では最もひどかったときよりは解消しつつあるにしろ
まだ十分にガソリンが買えない。(じゃじゃ馬姫のハイオクガソリンは特に!!)
群馬も状況は栃木とさほど変わらないようでガソリンを入れる為の長蛇の車列が続く。
コンビニでは電池類はほとんどすべての種類で欠品。
栃木と変わらないんだな、なんて思いながら次の駅へ。
そして谷川岳の登山口にほど近い山間の小さな駅だ。
ところがさらに悲劇は続く。
ここから次の電車まで、なんと2時間待ち。
雪がちらつくほど寒いこの場所でまた足止め!
この時点で、すでに14時を過ぎている。
本来であれば、新幹線でたった数駅で
新潟まで行けるもののあえて選んだ普通列車の旅。
うーん、これも醍醐味かしら。
酔っ払ってくだを巻くおじさまの話を聞いたり、土産物店をうろちょろしたりしながら過ごす時間。
この辺りから、地震で日々揺られている事、
放射線の影響で庭の野菜を食べるか否かを悩まなきゃいけないような日常を忘れつつあった。
そうか。自分でも気がつかないうちに何となく沈んだ気分に陥っていたらしい。
もしかしたら新幹線でたった数駅では日常を背中に背負ったままだったかもしれない。
何となく燃料不足で出かけ控え、買い占めダメ!の風潮からの買い控え、
笑ったり楽しんだりもしちゃいけないような気分になりつつあったんだ。
それに気がつく事、そしてそれらを一旦背中からよっこいしょ、と下ろす為には
ある程度の時間も必要だったかもしれないなぁ。
さてさて、待ちに待ってやってきた、
この黄緑色のラインのローカル列車で関東を脱出!
(その2に続く)