コハク色の宇宙

よなよなエールが好きだ。
ビールに頑とした作り手の主張があるからだ。

のど越しで味わうビールとは
対極に位置するであろう味がする。
クリーミーな泡と麦芽の香ばしい香り、そして際立つホップの苦み、
のどを通りぬけた後もふわりと香る残り香。
多分これ以上美味しいビールに出逢った事がない、と言いきれるぐらいに
華やかで大好きなビールだ。

多分このビールは缶のまま飲んではいけない。
いや、正確にはいけない訳じゃないけれど、
それではもったいないビールだと思う。

実は私、過去にこの製造元の関連企業で働いていた。
だから褒める訳ではない。
よなよなエールとの出逢いはそこで働くずっと前、実は、もう10年以上前になろうか。
その頃はまだ無名で、長野県内でしか買えなかった頃の
とあるコンビニエンスストアが出逢いの場所。
きれいな月の写真を撮りたいと思い始めたのがこのころだろうか。
（その夢は残念ながら未だ叶っていないが）
よなよなエールというおかしなネーミングと
お月さまの金色のインパクトのある缶に一目ぼれして買ったビール。
そして私のビールという飲み物の概念を
根っこからごっそりひっくり返したビールでもある。

缶口飲むと、香るものの、苦みだけが際立って感じる。
それがグラスに注ぐ事で空気とふれあい、豊かな香りがふわりと生き始める。
ワインが好きな人は間違いなく好きだろう。
そんなビールである。

そしてこれは私にとってのご褒美ビールでもある。
1本あたりの単価が高いので年に何度も飲めるものではない。（私としては）
ちなみにこれを開けたのは美味しいベーコンが作れた感謝とお祝いとして。

実はあれからベーコンの仕込みを止めていない。
燻製は基本的には塩分と時間、そして燻し具合、
味を決める要素は、たったそれだけなのに毎回少しずつ味わいが違う。
今回仕込んでいるものは燻すチップを変えて2種類作って食べ比べてみる予定。

美味しい手作りベーコンをおつまみに特別なビール。
最高のひとときである。