SLの街 酒場放浪記

最近飲んでばっかりである。
とはいえ、お酒は適量を楽しく。酔うために飲む事はしない。
それが私の信条。
 
酔うために飲まない、というのは、実は私ぐでんぐでんになった記憶があまりない。
なった記憶といえば…
大学のゼミの帰りにえらい先生方と緊張して日本酒を水代わりに飲んでしまい
帰りに京葉線を3往復してしまった事とか。
紹興酒を1本開けて、帰った夜、家の中で転んで血だらけになった事とか。
転職したときの歓迎会で、恐いお局様に飲まされて断れなくて
あまりの恐さにがぶがぶ飲んでごまかした結果、腰が砕けて帰れなくなり、
仕方ないので上司に連れられて職場に戻り、
普段会議をしたりする応接室の片隅に布団を敷いてもらって(!)泊まった事とか。
おそらく、あの日の事務所は絶対酒臭かったに違いない。
 
ん?あるじゃないの。信条に反する飲み方してぐでんぐでん。
ま、たまにはあるのだ。
とりあえず常軌を逸した飲み方をしなければ、そんな酷い事はない。
父は無類の大酒のみだ。きっとその血を受け継いだんだろう。
でも酒は飲んでも飲まれるな、である。
 
そんな大酒飲みの血をひいてしまったぬっこだけど、毎晩習慣のように飲む訳ではない。
床下収納庫には、ラムや諸々を隠し持ってるし、
冷蔵庫には大量のよなよなエールと軽井沢高原ビール、
玄米を貯蔵する大きな冷蔵庫の片隅でワインが寝てるけど
毎晩飲む訳ではない。(やっぱりそこは強調したいらしい)
そして私、本当は家で飲むより外で飲む方が好きなのだ。
 
もちろん気の置けない友人と飲む時間も楽しいけれど、
一人でぷらっとお店に訪れて
大将やバーテンダーさん、またお客の誰かと他愛もない話をして過ごす時間って、
新しい発見があったり自己内省する機会になったり、すごく貴重な時間だと思う。
それがテレビの話題でも自分や相手の昔話でもそれでもいいのだ。
ただ、「見知らぬ誰か」と「何かを話す」という行為そのものが好きなんだと思う。
 
バスで1時間揺られて飲み行ったのが先日の事。
そこで、真岡のかつて行った事のある思い出のバーが
私の家の近所に移転してひっそり営業していることを教えてもらい、これは行かねば!!と。
ここ、実は、家から車で2分の距離である。
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そこは、本当にひっそりした場所にあった。
まさに住宅街のど真ん中。
いつも近くの通りを車で通る事はあってもこの路地には気付かなんだ。
ここに移転したというのが2006年の事。
2006年といえば・・・私は軽井沢にいたっけ。
 
お久しぶりです、と言ってもおそらく覚えていないだろうなぁと思いながらドアを開ける。
おそらく過去に何度か伺った事はあったものの大勢のうちの一人、
または連れがいたりと、特にちゃんとお話をした事はなかったのだから。
でも、そこにいたのは私の記憶にあった笑顔が素敵な片桐さんだった。
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まずはギネスビールで。
私はのど越しよりもむしろじっくり味わって飲みたい派なので、
ギネスは大好きなビールである。
そのあとにカンパリソーダ
そして最後にマティーニ
 
マティーニという飲み物は特別な飲み物だと思っている。
作り方は、いたってシンプル。
でもこんなにも多様で奥深く、
そして難しいものはないとも思う。
 
(過去にステアしてたら、手がつってしまい落第した私がこんな事を言う資格はない苦笑)
何となく、箱根時代に必ずマティーニを頼むお客様がいたりして
やたらと同僚とマティーニネタで話す事もあったような。
マティーニが似合う女性になれたら素敵だなぁ、なんて思う憧れのカクテルでもある。
コロポックルとか妖怪とか言われているので多分無理。)
 
パイプのけむりの小川氏に教わってここが再営業を始めたのを知った事を話し、
あとは、過去のよもやま話をあれこれ。
お店には他のお客様はいらっしゃらなかったので、
あれこれ私のホテル時代の思い出話を聞いてもらい、
いろんな事を考え、大声で笑い楽しい2時間だった。
それにしても思い出すのは、あれこれ、楽しかった事や仕事の合間でやらかした悪戯だったり
そんな事ばかり。
 
私は一旦こうしてホテルから離れて、この先どうするのかをリセットしたゼロ地点にいる。
このゼロ地点からどの方向へ歩み出すのか。
正直まだ定まっていない。
だからこそ、あれこれホテル時代のこぼれ話をしながら、
自分の意思だったり思いを反芻しているんだと思う。
そんなことを帰り道にわざわざ遠回りして田んぼのど真ん中を通って
カエルの合唱をBGMに酔いざましに遠回りして考えた。
 
奇しくも今日の産経新聞(栃木版)に、
ホットハートのオーナー、片桐氏の記事が出ていた。
千本シェイク(!)で、平成2年の全国バーテンダー技能競技大会で優勝し、
平成5年にはウィーンで開かれた世界大会のテクニカル部門で優勝された、という輝かしい経歴の持ち主。
新聞には、昨日記事にしたパイプのけむり夢酒OGAWAのオーナー、
小川氏が自ら作った見事な切り絵の肖像とともに載っていた。
 
Hot Heart(ほっと・はぁーと)
栃木県真岡市荒町4-31-4
0285-84-5088
定休日 月曜日
 
産経新聞栃木版の記事「バーテンダーの肖像」