松本酒場放浪記 その2 ~ほろ苦いキャラメルソースの夜~

その1に引き続き、そして松本の夜は更けてゆく…。
 
ぶたやを後にして、てくてく歩いた先は、こんな恐ろしく急な階段。
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既に生ビール数杯と生マッコリ、焼酎2本とずいぶん危険な飲み方をしている私。
それでも、飲みたい一心でこの古びた階段を半分這いながら上がる。
実はここは2度目の来訪。1度目は…そう。あの日本海~松本~名古屋に旅をしたあの時である。
 
イメージ 2扉の先には素敵な光景。
一枚板の大きなカウンター。
そして身体がすっぽり包み込まれるような
絶妙な座り加減の柔らかな手触りの革張りのソファ。
ちなみに写真は既に酔っているので撮れておらず。
前回のものを使用。
 
静かなジャズをBGMに、
ジェントルなバーテンダーの砂子さん。
あぁ。またここに来られてよかった。
 
なんせ私、ここを訪れたくてわざわざこの近くに宿を取ったのだから。
砂子さんの物静かでその中に優雅さと華やかさを持ち合わせた立ち居振る舞いは
やっぱり見ていて、気持ちがいい。
 
ここは、ラム酒専門のバーである。
相変わらず私はバーに行って、銘柄を指定して頼むことはほとんどない。
さっぱりしているもので、甘くないもの、おまかせ!…いつもこんな感じである。
喉はもう既に十分に潤っているのだけれど、さっぱりとカルバドスハイボールをいただく。
 
そして、その後でラム。
既に焦点があっていない。
イメージ 3
まずは写真右のラム、「リビエール・デュマ」。
これはレユニオン島で作られたもので、
なめらかで優しい甘さの後でスパイシーな後味に変わっていく優しさと強さを併せ持ったお酒。
ところで、レユニオン島ってどこだろう…。フランス領の島なんだとか。
どれどれ…と調べてみたらモーリシャス島のお隣だった。
大きさは佐賀県よりも少し小さいぐらい。ふむふむ。
 
お次の左側のものもレユニオン島のもの。
既に名前を聞き取れていないのだけれど、とにかく力強く華やか。
後味もスパイシーでガツン!といったところ。
50度とアルコール度数もガツンなんだけれど…ガツンと行かなきゃ、と思っていた私にぴったりな感じ。
これは是非頑張らなきゃ!って思う時にまた飲みたい
(でもこのお酒、実はものすごく変わり種で貴重なものなのでは…と酔いながらに思った私。砂子さん、ありがとう。)
 
カウンターでひとり飲みしていた方と燻製話で大盛り上がりし、ここでもベーコンの話題だった私。
でも…実は本当はこの時、弟子入りしようという舵を切った決意と、
思い切った方向転換をして押しつぶされそうな不安とが
半々に入り交ざった、かなり複雑な心境だったりする。
夢は大きくとも小心者の私。
不安な時ほど人は饒舌になるものだ。
とめどなく湧き上がってくる不安に押しつぶされるのが怖くて、それを言葉でかき消したくなる。
何となくそう思った。
 
キャラメルソースみたいな口当たりはガツンとほろ苦く、でもほのかに甘くうきうきする感じの、
ずいぶんと飲み、ずいぶんとおしゃべりだった夜。
多分一生忘れない夜だろうな。
 


カンティーナ わん
住所 長野県松本市中央2-9-11 2F
営業 20:00~27:00
定休日 日曜日