おひさまの味に救われた

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うちのホテルには自家菜園があり、専属で畑を管理しているスタッフがいる。
採れたハーブや野菜たちはレストランでシェフの手により美味しい料理に姿を変える。
これらの野菜だが、過剰に収穫されたものや表に出すには忍びないような
割れてしまったり成長しすぎたりしたものはスタッフの食事用にまかないで使われることもある。
今日はトマトがカゴ2つ分どっさり従食にあった。

今日もどうも調子が出ない。
気分的には仕事をこなそうと必死なのだけれど、実際の処理が全く追いついてない。
ドロドロの血液がうまく流れずに血栓になってしまうみたいに
仕事が処理できずにどんどんたまっていく。頭から煙を噴きそうな感じ。
一旦仕事から離れて気分転換しようと表に出たり休憩してネットの記事を見たりするのだが、
やっぱり結果は変わらない。
仕事が多すぎるんじゃない。多分私の処理能力が低いんだ。
…へこたれて悲しくなってきた。
帰りたいのに帰れない。進めたいのに進まない。

何度目かの休憩で従食に下りたら、昼食のときに見たトマトがまだ残っていた。
ふと思い立っておもむろにトマトに手を伸ばしてがぶりとひとかじり。
甘い。そしてほんのり青臭い。そうそうトマトってこんな味だった。
太陽をいっぱいに浴びて育ったおひさまの味がした。

夢中になって大きなトマトを丸かじりして、気が付いたら悲しいのなんてすっかり忘れていた。

それから2時間。
仕事の山は相変わらずうずたかくそびえたってるけれど
それでもその2時間は多分今日1日で一番集中できた時間だったように思う。
おひさまの味に救われた。

多分この味は一生忘れない。