天国と地獄

どうもやはりここのところ調子が出ない。
頑張ろうとしているけれどもなんかうまくいかない。
今日はトラブル1件、大急ぎの仕事1件、大失敗1件。
とりあえず平穏ではなかったのは確か。
裏方だからまったり出来そうな気もするのにそうもいかない。

うちのホテルは新しい棟と古い棟とあり歩いて行き来している。
新しい棟の方に用事があり、てくてく歩いて移動。
普通に歩けば5分もかからないぐらいの距離なのだが、
休憩時間が少し余っていたせいもあり、散歩がてら雨上がりの森を経由して行こうと思った。
今日は気まぐれな空模様で、急なにわか雨が降ったりやんだり。
外に出てみたらちょうど雨がやんだ所、今がチャンス。

ひどく蒸し暑い森の中を歩く。
周りが気温に対して川の水の温度は一定なので、
温度差で川からは水蒸気が立ちのぼり、森の中は薄くもやがかってすごく幻想的な風景。
毎日同じ景色を見ているはずなのに、毎日違った表情を見せてくれる。
雨が降って不安定な天気のせいかゲストは誰一人いない。
幻想的な目の前の森もせせらぎも全部独り占め。
仕事で移動中だったことも忘れて、言葉も失いその場にしばらく立ち尽くす。

ところが山の神様はそんな私の欲張りを許さなかったらしい。
突然バケツをひっくりかえしたみたいな土砂降りの雨―。
傘は持ってきていない。

新しい棟に付いた頃には、頭のてっぺんから足先までびしょびしょ。
制服なのに。仕事中なのに。なぜに私はヌレネズミ…。
そのあとは水を含んで重たくなったびしょぬれ制服で捨て犬みたいにしょんぼり事務所で作業。
エアコンが効いた室内では濡れた体は冷え切って寒い。
まさに天国から地獄。
周りはよりによってこんな不安定な天気の日に傘も持たずに森に入っていった私を見て大笑い。
余計にみじめだ。
でも川面に立ち上る霧は本当にキレイで、まさに息を飲む景色だった。
だからその後のことは忘れよう。

大丈夫きっと頑張れると自分を励ましつづけて仕事している自分。