カバンがない!

先日あった出来事。
うちのホテルは小規模で単価的にも高めというせいもあってか
いわゆる団体のお客様が泊まる事はあまりない。
だから余計にまとまった人数のお客様がいらした時の現場の対応は
ひどくお粗末な事が起きたりする事もある。

あるグループのお客様。
朝8時にゴルフに出発する人が数名。
同じ時間に観光に出かける人が数名。
入り口にはゴルフ場へと向かう迎えのバスが来ていた。
フロントに集まっているお客様の行き先は1つではない。
そこで朝事件は起きてきたらしい。

発覚したのは夜。
電話は次の宿泊先になっているホテルから、そのグループの幹事様から。
お客様の鞄が1つないという。着替えや帰りのチケットまで入ったボストンバッグ…。
とりあえず血眼になってホテル内を探索。…ない、ない、ない。
朝見送ったホテル側の担当者が記憶の糸をたぐって、思い出した!
…そうだ、朝のフロントでの荷物の振り分けだ。
観光組だったお客様の荷物まで、間違えてゴルフ場行きのバスに乗せたらしい。
ゴルフ場に着いたバスは荷物を降ろし、そしてその荷物は…そう、ゴルフ場!

もうゴルフ場は営業終了していたが、なんとか連絡をつけて探してもらったら
目論見通り、ゴルフ場にうちのホテルのタグ付きのそのバッグが
ぽつんと置き去りにされていたらしい。
気が付かないゴルフ場もゴルフ場だが、まともに確認せずに載せたうちもうちだ。
お客様はうちのホテルからは車で2時間半のホテルに泊まっていて
お帰りのチケットが鞄の中なので、帰りまでには手元に届けなきゃいけない。

さぁどうする?
思わずこれから行きましょうか?と言ってみる。
翌日は私は休みだがバイトで朝早い。
往復5時間のドライブ。その後実家まで1時間半移動。
なんとか翌日の朝のバイトには間に合いそうだ。
だけど、こんな時にその無謀なドライブに行くという人は私以外にはきっといない。
変な使命感にかられて意気込んで行く気満々。
そんな時に私は妙にハイテンションだ。

ところが事態は別の方向へと進むこととなる。
バス会社から電話があり、荷物を載せたバス会社に責任がある、と。
申し訳ないからとにかく朝1で届ける、と申し出があった。
そもそも全部積んでくださいと言ったのはホテル側なのに、である。
しかも、一番困っているグループの幹事様も、朝確認しなかった自分が悪いと言う。
ミスをした側であるホテルを誰も責めていない。
苦情になってもおかしくない話なのに、関わった人達に助けられた。
私の出動は免れた。一件落着である。

後日うかがったら、バス会社の社長が朝4時に荷物を持って先方のホテルまで出向き
お客様の朝食の頃には手元に荷物が無事届けられたそうだ。

それにしてもいろんなことがあるもんだ。