一歩引いた立場で

仕事が一段落してチョコクッキーを食べながら料理長と話をしていたのだが、
何故だか接客の話や前職の話、自分が転職してきた理由、
そして何故だか料理長に対して偉そうに自分の接客に対しての考え方を語っていた。

自分はゲストを慮る接客をしていきたいこと、
今働いている場所で学ぶ物や吸収すべきものも沢山ある一方で
自分の接客の考え方を共有出来る人があまりいない事や
仕組みや数字にこだわり過ぎて原点を見ようとせずに
理解すらしてもらえない人がいることが残念でたまらない事。
そして今自分の接客のスキルをどうやって上げて行けばいいのか
日々試行錯誤しながら仕事している事。

それに対して料理長は、ただただ黙って聞いてくれた。
なんだかそれが凄く嬉しかった。

私は人に自分の考えを押し付ける気もないし、また誰かを指導する立場の人間でもない。
ただ目の前にいるゲストを喜ばせたいだけ。
会社が大事にしている満足度の数値や売上はその後に結果として出てくる指標。
勿論仕事は奉仕作業ではないので、利益とのバランスも大切。
だけどそのバランスを取りながらも結局の所、
この仕事の原点ってその目の前にいるゲストに喜びだとか驚きだとか、
またその時間を最大限楽しんで頂けるか、に尽きると思う。

その為にどう演出するのか、どうゲストに『仕掛ける』のか。
日々ゲストをさばいて、仕事をこなすのなんて覚えてしまえば難しい事じゃない。
だけどそれだけじゃやっぱり駄目なんだ。

料理を作る立場というのは直接接客してゲストにサービスする立場とはちょっと違うけれど
その一歩引いた立場からサービスする人間を見ていて、
多分料理長自身思う所も沢山あるんだと思う。

果たして、料理長はやたら熱っぽく話し続ける私を見てどう思ったんだろう。