第三次ベーコン燻製 1回戦

いつもの、燻製用に庭に設置された、
事件現場並みのブルーシートのカーテンもまるで効果がないぐらいの強い風が吹く。

でもあいにくにも今日は燻蒸する日。

スモークの食材は、ピックル液に浸していれば
予定をオーバーして漬け込みをしても、
どうという事もないが、乾燥の行程まで終えてしまったから、
もう今日火入れするしかない。
つまり「待ったなし」である。

この火入れは何日も液に漬け込み、
あれこれ行程を経た後の、いわば集大成。
だからこそ、失敗も許されない。
否が応でも気も引き締まるし気合いも入る。

だけど、外は暴風。
田んぼの土煙であたりの景色が霞み、
電線が風に共鳴してヒュンヒュンうなり声を上げている。
うーん、参ったな。
仕方ないので家の周りで一番風あたりの弱い場所を探して、
玄関の屋根の下を陣取った。
いつもはサクラのチップで燻すのだが、今回はクルミで燻す。

スモーク作業をしているとオマエジャマダ、と言わんばかりに
ツバメが頭上をかしましく鳴きながら飛び回る。
玄関の外灯がある部分の屋根との隙間が気に入ったらしく
しきりにその隙間に入り、さえずりまた忙しく飛び立っていく。
ツバメは家につく鳥。
今年もまたここに巣を作るために帰ってきた。
南方から今年も迷う事なく戻って来るその身体に備わった機能は凄いものだ。
「土食って虫食って渋ーい」とさえずると言われている。
とにかく5時間弱、温度と火の調整しかやる事もないので、
シブーイというさえずりを聞きながら、
暴風の中じっと耐える。

それにしても野鳥なのに、人を怖がらない。
もっとも私が邪魔をしている側のような感じで
けたたましく、しぶーい、しぶーい、ギャギャギャッと鳴かれて
どうも邪魔してすいませんね、と
何となく背中を地縮こまらせながら
私の方が気を遣いながらそこで作業しているのだが…。

イメージ 1
そして風に耐えて耐え抜いて出来あがった逸品。
クルミはサクラほど、色付きが弱くマイルドな味わい。
サクラはどっちかというとガツン系な感じなので
それと比べるとやさしい感じだ。
肉の塩味を今回は強めに仕上げたので、
肉の味わいがガツンと、そして余韻でほわりとスモークが香る、
そんな感じの出来だろうか。
これは、そのままおつまみにしていただくが吉。
明日はサクラで2回戦かしら。

イメージ 2
母が教室から帰ってきて一言。
「今日の夕食は何?」と明るい声。
え…私、今日夕食当番だったの?
というわけで本日の夕食は…えーっとえーっと…
目の前にあるベーコンにおのずと目がいく。
こりゃぁ決まりだな、という訳で、にんまり。
本日の夕げはカルボナーラに決定。
作ってその場で食べる。なんて贅沢なんだろう。

夜、玄関の外に出てみたら、
外灯の上にちょこんとツバメが1羽。
あの…まだ巣作ってませんよね。