琥珀色の液体に酔う

琥珀色のなんて言ってもバーボンでもブランデーでもウィスキーでもなく、
ただの梅酒だが。
先日何年物かの梅酒を実家から調達。
眠れない夜はこれに限る。
ストレートで飲んでも、ソーダで割っても
湯で割っても、それなりに美味しく飲めるから好き。

梅酒って一つ一つ竹串でなり口を取り、氷砂糖と梅を丁寧に重ね、ホワイトリカーを注ぐ。
あとは時間が梅と溶け込んだ氷砂糖とアルコールとをいいあんばいに熟成させ
飲み頃の琥珀色になるのをじっと待つ。
人の手がかかっていると感じられるから気分的なものだが既成のものより自家製のものがいい。

実は・・・ここ何日か仕事を休んでいた。
過去に思いをはせるでもなく、思い悩むでもなく
こうして琥珀色の液体に
素直に酔えるようになったのは元気になった証拠。

大好きな仕事のはずなのに(言葉は悪いが)このくそ忙しい時期に何故休んだかといえば。
休み明け、数日高熱に悩まされていた。
休みに入る前の時点で仕事の事で大きな悩みを抱えて眠れない夜を過ごしており
数人にその溜めた思いを吐露して休みに入ったせいか
この休みが何か深い意味があるのかと詮索されたのも事実。

本当の所、駆け込んだ夜間診療の当直の医者の言うように扁桃腺炎だったのか、
それとも本当に私の心が壊れてしまったのか、自分でも分からない。
だがいずれにしろ家から一歩も外に出られず窓から恨めしげに空を見ながら臥せっており
高熱が薬でほんの少し下がった合間に、
足跡をなんとか残すべくつらつらと文字を綴っていたのも事実だ。

朝なのか夜なのかよく分からない時間をすごしながら
空を見るのに飽きたらいつの間にか買いためていた本を読みあさり
たまにかかってくる会社からの安否の電話にか細い声で応じていた。
最初はシフトに穴を開けた事に気を揉んでいたのだが
自分がいなくとも、会社は回っていく。

あとこの土曜1日休んで日曜からはまた怒涛の日々が戻ってくる。
あと1日、ゆるりゆるりと過ごすことにしよう。