対照的な対応

実際に入ってくる予約には数種類。
お客様から直接お電話で入ってくるもの。
インターネットからお客様が入力するもの。
カード会社から送客されてくるもの。
旅行社から送客されてくるもの。

前者2つは良いとして、後者2つは別の会社が仲介している。
仲介している分、ホテル側から直接お客様に連絡を入れる事はなく
全て会社を通して予約の手配は行われる。
それらの会社の対照的な出来事があった。

あるカード会社からの送客のお客様。
お客様がカード会社にうちのホテルへの予約と一緒に、新幹線のチケットを取るようお願いしてあったらしい。
だが、お客様がホテルのシャトルバスと新幹線の接続が良いように頼んだはずが
手違いで無料シャトルバスとうまく接続出来ない新幹線の指定席が手配されていた。
行きはお客様自身がタクシーを手配してホテルまで来たが、
帰りの無料シャトルバスに乗れない新幹線を手配された事で、カード会社に苦情を言ったらしい。

カード会社の担当は、その指摘でミスに気付き慌てた。
帰りのシャトルバスと接続のいい新幹線の指定席の変更手配の依頼をホテルにリクエスト。
うちの方でも配慮するように動いたが指定席が取れない。
その旨伝えたらホテル側で臨時便を出せないかと相談されたり、とにかくてんてこ舞い。
そして紆余曲折あり、カード会社側はどうにかこうにか指定席を手配し、
お客様の手元に帰りに間に合うように特急券を東京から宅配便で送った。
さらにカード会社の担当は、到着の際にゲストにタクシー代を支払わせたお詫びとして
支払いをカード会社もちで部屋にタクシー代と同額のフルーツをお入れするよう、
ホテルにリクエストした。

対して、大手旅行会社からの送客のお客様。
うちのホテルでは食事に関してのリクエストは基本的にNoとは言わない。
だけどその方は特別。
ベジタリアンメニューは用意しているけど、
肉魚に加えて、乳製品も卵も植物性油も糖類、果物も一切ダメ。
パンも糖類が入っているから食べないという。
特に肉が大好きで何でも食べる私からは理解出来ない趣向だが、リクエストはリクエストだ。
だけど野菜しか出せない以上コース料理で用意するのは正直難しい。
旅行会社に、食べられないものの詳細を聞いて欲しいと何度か連絡を取り、
夕朝食のプランではなく、部屋代で案内させてもらうように依頼、
そして例えばそのゲストが普段何を召し上がってるのか、細かく聞こうとしていたら、
あろうことかその担当者

「こっちは忙しいんでかまってられません、失礼しますっ」ガチャン!!
…話の途中で電話を切ってしまった。
切れられて唖然とする私。
それはまるでセールスの電話を「必要ありませんから」と切るように、である。
一瞬何が起きたのか分からなかった。
こっちだって暇じゃない。お客様の事ではないか!
面倒なのはお互い様。忙しいのもお互い様!ありえない。
怒りのあまり受話器を持つ手が震える。
同じ接客をする人間として許せない。

それから数分後、そのベジタリアンのお客様から直接連絡があった。
なんかホテルが面倒で訳のわからん事を言って来ているので
直接電話するよう、きっとお客様に旅行会社の担当が連絡を入れたのだと思う。

手配については結果的には問題ないが、
自分の顧客に対して一生懸命手配をするカード会社と
面倒だから付き合っていられるかとさじを投げる旅行社。
そしてそれらに板ばさみのホテル。
…うちの送客してくれる彼らも大切。
そして実際にうちに泊まるお客様も大切。

だけど、面倒だからとさじを投げるような仕事は、私はしたくない。
絶対にしない。